父は数多の船に帆柱を立て
揺れ漂う海原の旅に出た.
ほのぐらい天空を滑り
幾何学図形の面をつっ切る
大艦隊の船という船は
どれもひとつの名をつけていた,
「孤独」と。
(中略)
探索の宝庫には,満々と不可思議が収まっていたが,
地上の理解を超える最大の不可思議は
「彼は初めに至りしなり
終り(エンデ)によりて」の発見だった.
(「我が父」ミヒャエル・エンデ)
『はてしない物語』や『モモ』でおなじみの作家、ミヒャエル・エンデ。
その父で画家の、エドガー・エンデ。
1989年開催の、父子ふたりの絵画作品を集めた「エンデ父子展 エドガーからミヒャエルへ――ファンタジーの継承」展の図録です。
一見奇異で、目をそむけたくなるものも少なくない、エドガーの作品。しかし、彼の作品を観ることで、霊的・精神的世界にふれられる感覚は、ミヒャエルの作品に、大きな影響をおよぼしました。
図録には、そんなエドガーによる絵画作品や、ミヒャエルを描いた肖像画。ミヒャエルが手がけた、『モモ』の表紙や挿絵、『はてしない物語』のイメージ画などを収録しています。