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池澤夏樹/文
本橋成一/写真
「小さな橋を渡った時、戦争というものの具体的なイメージがいきなり迫ってきた。二〇〇二年十一月四日の午後の今、近隣国にあるアメリカ軍基地の倉庫の中か洋上の空母の上に、この小さな橋の座標を記憶した巡航ミサイルが待機している。遠くない将来にそれが飛来して、青い空から一直線に落下し、爆発し、この橋を壊す。そういう情景がくっきりと浮かんだ。ぼくの目の前で橋は炎と砂塵と共に消滅してゆく」(本文より)
『スティル・ライフ』などの小説や文学全集の編纂などの活動でおなじみの作家・池澤夏樹(1945-)。2002年に自らの足でイラクへと向かった池澤さんの記録と問いは、20年以上経った今の私たちにこそ投げかけられていると感じます。
80ページほどですが、本橋成一よる写真とともに、強く記憶に焼き付きます。