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今江祥智/文
長新太/絵
理論社
全体に日焼けあり
「電車の中の人たちも、町を歩く人たちも、何だかようすがふだんとちがっていた。三人は、大阪に近づくにつれて、それがだんだんはっきりと見えるようになった。けれど三人のだれもが、「どないしたんやろ?」を口にしなかった。そうたずねるのがこわかったのである」
大阪で暮らす洋一、洋次郎、洋の三人兄弟のまわりに、日に日に戦争が忍び寄る…。広がる暗い影の中で生きる姿を描いた物語。
あたたかい関西弁の語りと、心情をすっと掬い上げるような描写に胸を打たれます。
長新太による挿絵も、物語の素朴な雰囲気にしっくりとなじんでいます。