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江國香織/作
背表紙日焼け
雨の一歳の誕生日に、私はエリザベス・シュワルツコップのアリア集を買ってやった。雨の持っている、たった一枚のCD。私の好みから言うと強烈すぎる歌唱なのだけれど、雨は気に入ったようだった。基本的に、強烈なものが好きなのだ。犬の体温が人間の体温より高いことと、それは関係があるのかもしれない(し、ないのかもしれない)。
(本文より)
作者がの「腹心の友」であるアメリカン・コッカスパニエルの「雨」と、雨とともに音楽を聴いた日々を綴ったエッセイ。
部屋の中でひっそりと開いて、雨と江國さんに会いに行きたくなる。そんな作品です。
ときおり、くすくすっと笑ってしまいます。