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茨木のり子/作
風や鳥に運ばれてきた種子のように、あちらこちらを転々とし、ちらばり、咲き出て、また風によって運ばれて……。
人間も植物とさして変わりはしない。そして今、はからずも日本列島で咲いている。そんな感慨を持つのである。
(「一本の茎の上に」より)
「自分の感受性くらい」や「倚りかからず」などで知られる詩人・茨木のり子のエッセイ集。作者が読んだもの、見たものから受け取る気づきの鮮度としなやかさにおどろかされます。18編のところどころに、高瀬省三の挿絵も収録。