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谷川俊太郎/作
新潮文庫
もたれ合う、依存し合う家族よりも、ゆるやかな絆でむすばれた個人の集まりとして家族をとらえるほうがいいのではないかと、その是非はともかくとして私は考えるようになっています。たとえ血がつながっていようと、結婚の誓いをともにしていようと、自分ではない人間を一個の他者と考えることが必要な時代になってきていると思うのです。
(「ひとり暮らしの弁」より)
『二十億光年の孤独』などで知られる詩人・谷川俊太郎のエッセイ。宇宙の中にただ「在る」かのような作者の言葉には、小さな世界でこんがらがった頭をほぐしてくれるふしぎな力があるようです。
後半の「空」や「生」、「愛」などの言葉をじっくり見つめる「ことばめぐり」の章もたのしいですよ。