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キム・ハナ、ファン・ソヌ/著
清水知佐子/訳
CCCメディアハウス
単身世帯は原子みたいなものだ。もちろん、ひとりでも十分に楽しく暮らすことはできるけれど、ある臨界点を超えると、ほかの原子と結合して分子になることもできる。原子が二つ結合した分子もあるだろうし、三つ、四つ、あるいは十二個が結合した分子の生成も可能だ。固い結合もあれば、ゆるい結合もあるだろう。女と男という二つの原子の固い結合だけが家族の基本だった時代は過ぎ去ろうとしている。この先、多様な形の「分子家族」が無数に生まれるだろう。分子式にたとえるなら、私たち家族はW2C4といったところだろうか。女ふたりに、猫が四匹。今の分子構造はとても安定している。
(「分子家族の誕生」より)
キム・ハナとファン・ソヌ。ふたりの女性は、4匹の猫たちとともにソウルのマンションで一緒に生活しています。彼女たちの「ひとり暮らし」でも「結婚」でもない、そして単なる「シェアハウス」とも一味違った奇想天外な「共同生活」を綴ったエッセイです。
多様性や家族のあり方などを重苦しくなく、たのしく捉えられたら…という気持ちにぴったり。300ページと一見ボリューミーですが、写真やイラストも入っていますし、とても軽やかな文章ですよ。