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古本『ヒルベルという子がいた』

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ピーター・ヘルトリング/作 上田真而子/訳 ばかだばかだ、といわれるかれの頭の中には、ほんとうは、あまりにもたくさんの考えや、喜びや、おそれがつまりすぎているので、おとなのいう、いわゆる《きちんと勉強する》ことなどできっこなかった。 (本文より) 生まれたときから病気とともに生きているヒルベルは、生みの親からも里親からも見放され、子どもの施設に預けられて生活していました。 たびたび原因不明の頭痛に襲われ、「自分をはっきり表現することもできなかったうえに、ほかの人を混乱させたり、興奮させることばかりしていた」彼の日々を描いた、ドイツの作家・ヘルトリングの作品です。 決して明るくはありません。問題も山積みだと感じさせられます。それでも。それでも、この物語が存在し、人々に読まれることで何かがはじまる、という気配が、たしかにあります。

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