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東京・大田区にある葉々社という新刊書店さんから、新たに発売を開始された「小さな海外文学」シリーズ。その第1弾が、2冊まとめて入荷しました。
おもに「海外文学に触れてこなかった読書家たち」を対象に、気軽に読みやすい作品をと考えられた、量にして120ページほど、薄めの文庫本くらいの軽やかさで手に取ることができますよ。
「とにかくロングパドルがいまどんな様子か、誰が住んでるのか、ひたすらそれが知りたくてロンドンからやって来たんです。だからこそ、貸馬車を雇ってロングパドルへ行くより、皆さんの乗合馬車で行くことを選んだわけで」
(「序」より)
馬車に揺られながら、35年ぶりに帰郷した男がそう尋ねると、馬車屋と乗り合わせた客たちが次々に、この村で起きたできごとを語りはじめます。
目次に並ぶのは、そうして彼らの口から語られたロングパドルでの出来事。「トニー・カイツ、究極の偽り人」、「迷信深い男の話」など、見ているだけで興味深いですが、読み出したら止められません。
とても久しぶりに「これぞ物語!」と唸らされました…。
(最終話の「ネティ・サージェントの借地権」は今年5月に当店で柴田元幸さんがの朗読会してくださいました。お越しのお客さん、あのときの!です)
これがもう100年以上も前の物語とはとても思えないのは、ひとりひとりの語りが少しも古びず、いきいきとしているからでしょうか。
とにかく手放しにおもしろい作品なので、ぜひ気軽にお手に取ってくださいね!
柴田元幸/訳
吉田秀美(mewglass)/装丁
※今なら訳者・柴田元幸さんのサイン入りです!