

私は静かな部屋でこれを読んでいるあなたにあげる。私は電車でこれを読んでいるあなたにあげる。私は川のほとりでこれを読んでいるあなたにあげる。
この海をひとりで抱えることはもうできない、だからあなたに、海をあげる。
(「海をあげる」より)
沖縄県生まれで、普天間基地の近くに住みながら、未成年の少女たちの支援・調査に携わる上間陽子さんのエッセイ集です。
自身のこと、家族のこと、支援する少女たちのこと、沖縄の基地のことがどれも地続きに綴られた文章。
それらは時に読み手のこころにひりりと沁みながら、同時にみずみずしく心を包んでもくれます。