
装丁:渋井史生
装画:坂内 拓
2025年5月27日・刊
定価:2,300円+税
256ページ
ISBN: 978-4-907407-23-1
並製本
福島県いわき市小名浜地区を拠点として活動する
小松理虔(こまつりけん)さんのエッセイです。
◇
感想を少し失礼します。
里山社のWebサイトで連載のあったころから、
こちらのエッセイを興味深く拝見していました。
ここに登場するみなさんの言葉や、
それを受けた小松さんの気づきによって
「私の目線からどう見るか」
ということを素直に考えられる、そんな本だと感じます。
ひとつひとつの問題に自分のペースで近づいていけるような
安心感がある、というのでしょうか。
最近は、お客さんや町の人と、
身近な社会の話や世界を取り巻く政治のことまで、
あれこれお話しするようになりました。
中には、一人で考えすぎて息が詰まったり、
個人の力でどうにもならないことに悶々としたりしている人もいます。
(私もそのひとりです)
そうした日常の中で、小松さんの考え方や言葉は、
思いがけず風穴を開けてくれました。
ひとつひとつが大切で難しい問題だからこそ、
広々とした、安心できる場で考えたかったんだな、と確認でき、
入りすぎた肩の力が、ふっと抜けたように思います。
本の中にいろんな方がいて、だからこそ、
さまざまな読者の居場所が、きっとあります。
どの場面が印象的だったかはきっと多様。
その多様な受け止め方を起点に、話せることがあるのかもしれません。
これからみなさんにお渡ししていくことをたのしみにしています。
◇
下記、里山社Webサイトより、本の紹介です。
ぼくらはみな、だれかの悲しみのよそ者だ。
それでもなお、 他者との間の線を手繰り寄せる。
東日本大震災と原発事故から10年。
魅力的な地元の人々と話し、綴った、災間を生きるすべての人へ捧ぐ渾身の初のエッセイ
東北にも関東にも、東北随一の漁業の町にも観光地にもなりきれない。
東日本大震災と原発事故後、放射能に恐怖し、風評被害は受けたが直接的被害は少なかった、福島県いわき市小名浜。
著者は、この地で生まれ育ち〈中途半端〉さに身悶えながら地域活動をしてきた。
当事者とは、復興とは、原発とは、ふるさと とは――10年を経た「震災後」を、地元の人々はどう捉え暮らしてきたのか。
魅力的な市井の人々の話を聞き、綴った、災害 が絶えない世界に光を灯す人物録。
目次
「震災10年」と名物女将が守るチーナン食堂
処理水放出と海辺のまちの生業
老舗温泉旅館に生まれた原子力災害考証館
楢葉ルーツの解体業者がつくる未完の映画館
若き作家と響き合う常磐炭鉱の念
「被災地」であり、「被災地」でなかった双葉高校で
復興工事の現場から手繰り寄せる線
「そこにいく」から始まることーアシスタントの〈イチエフ〉視察記
流転する記者と重ね合う〈ふるさと
博覧強記の先輩と見渡す複数ある世界
我が子と語り合う、10万年後のこと
著者について
小松理虔(こまつ・りけん)
1979 年福島県いわき市小名浜まれ。
法政大学文学部卒業後、福島テレビ報道部記者、かまぼこメーカー 広報などを経て2015年独立。
小名浜でオルタナティブスペース「UDOK.」を主宰しつつ様々な分野の企画や地域の情報発信に携わる。
18年『新復興論』(ゲンロン)で大佛次郎賞受賞。
著書に『地方を生きる』(ちくまプリマー新書)、『新地方論』(光文社新書)、『新復 興論 増補版』(ゲンロン)。
共著に『ただ、そこにいる人たち』(現代書館)、『常磐線中心主義 ジョーバンセントリズム)(河出書房新社)、 『ローカルメディアの仕事術』(学芸出版社)。